ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
「お仕事は?」
かすれた声で凛は言った。

「今日は得意先に直行だから、出勤が遅いんだ」
男は凛のベッドの横にパイプ椅子を開いて座った。

「なにかと理由をつけて、毎日重役出勤で、大丈夫なのか心配よ。そんなに私に会いたい?」
凛は言って、目尻のしわを深くして笑った。

男は再び手を握り、凛の顔を見つめる。

凛も、男の顔をじっと見つめ、顔中を皺だらけにして満面の笑みを浮かべた。

「私はね、ショウちゃんのことが大好きだよ」

またそれ?と男は笑って、凛の指の関節に唇を押し当ててから、答えた。
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