ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
ご利用金額二百万円。キャッシング限度額まで借りている。
定期預金の口座も今、五百万円ほどマイナスになっている。
自分の家を持つのが夢で、この湾岸の高層マンションを単身で購入した凛は、月に二十万円のローンを払っている。そんな凛に、キャッシングの返済のあては全くない。

スマホを持つ手が震え、わきの下に汗が滲んだ。

「どうしよう、こんな大金、どうやって返そう」

画面を見つめていると、再び手のひらが振動を覚え、画面に緑色の帯が弾むようにが現れた。

グループLINEだった。開けばそこにはクリスマスディナーらしい料理が並んだテーブルの写真があり、奥にはスーツを着た男の手元が映り込んでいる。

牛フィレのロッシーニ風が盛り付けられた皿の手前には、白いリボンが結ばれたブルーの小さな箱。
中は指輪か何かに違いなかった。
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