ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
病室で凛の手を取っていたショウという男が、岸辺に気づいて会釈をした。

「翼くん、僕がどうして死神の姿が見えるか知ってるかい」

岸辺は、凛に寄り添うショウを見つめたまま、翼に言った。

「なんか、偉い役職なんだろう」

岸辺は首を横に振った。

「偉いわけではなくて、僕はたまたま、死神でもあり人間でもあったんだ。だから両方の架け橋ができた」

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