ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
仰向けに寝ている凛の背中に、腕を差し入れ、抱きしめる。
凛は背中を反らせ、うっとりと目を閉じた。

「・・・翼さん」

たまらない思いで、翼は凛に口づけた。

「んん・・・」

凛が声を漏らした。温かいものが、翼の体内を満たす。

凛の魂は消えゆく。
その名残が、胸の内側に沁み込んでくる。

死の領域へと導く直前の瞬間、凛の思考が、翼の胸の内に広がった。
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