ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
<晴れて、初デート!それもクリスマスイブに>

と書き添えてある。投稿者は、夏美だった。
写真に写り込んでいる手は、間違いなく拓斗だ。

クリスマスの夜、恋人を失った。その男は「晴れて」親友のものになった。凛のもとに残ったのは一年足らずの中途半端な恋の記憶と、返済しきれない膨大な借金。そして、やり場のない性欲。

大切にしてきたものが、まるで凛を裏切るかのように手の中をするりと滑り落ちていく感覚。これは以前もどこかで味わった、虚しさと寂しさだった。

凛の心の奥で、暗くて重たい何かがどろりと溶けだすような気配がした。
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