ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
突端が雲に消えそうなほど高い建物の中腹。

一四階のベランダの手すり越しに、異様な色彩の灯りが漏れる部屋がある。

窓ガラス越しにその隙間から覗けば、照明を落とした部屋で一人、大画面のテレビに映る淫猥な動画を、ぼんやりと眺めている女がいた。

キャミソール姿のその女は、ローテーブルに置かれたシャンパングラスの金色の液体を一気に煽って空にすると、ソファに深く身を沈めた。
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