ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
「・・・あの凛が、取り乱している?」

「そう。普段は落ち着いているけど、キレた時に手に負えないの。私これまで何度、あの子をなだめて助けたことか」

「そうなのか」

拓斗はそれきり黙ってしまった。

拓斗には、二股をかけていた以外に凛に対してうしろめたいものがある。
だからこそ、凛のことを必要以上に怯え、凛への直接の謝罪にしり込みしているに違いなかった。


凛はそこまで話し終えると、水を一口飲んで、死神に笑って見せた。

「なぜ笑う」

死神が凛を冷たい目で見つめた。心の内を見透かし、面白くなんかないだろう、と責めているように見えて、凛は思わずうつむいた。
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