ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
そこまではよかったが、そのあとのさまざまな手順を一足飛びに、ベッドに誘ってきている。

出逢った状況、男が現れた時の姿・・・は不自然な個所はいろいろあり、踏みとどまる要素はいくらでもある。

なのに凛は、この死神を名乗る不思議な男に抱かれてみたいという思いに、抗うことができなかった。


死神が唇を近付けると、凛は目を閉じた。

ひた、と唇の柔らかい感触がふれたあと、離れ、また温かい唇が触れた。

雨の降り始めの一滴のように、ささやかで控えめな接吻を三回受けると、直後、激しい雨が降り出したかのように、息継ぎもままならない激しい接吻で唇を塞がれた。
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