ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
岸辺は言って鞄から書類を取り出して両手に持つと、死神に向かって読み上げた。

「人間の死の妨害行為に対する処分として、その魂を人間の肉体に収監するものとする。期間等条件は本件規定の細則に準ずる」

読み終えると岸辺はその書類を死神に差し出した。

「本当に死神なんですね」

凛は唖然とした顔を男と岸辺に向けて呟いた。

凛に勧められソファに腰かけた岸辺は、向かいに座った死神の前に書類やカード類、パスポート、スマホ、手帳などを並べ始めた。保険証のほか、戸籍謄本もあり、そこに記載された身分が人間界での死神の身分となるようだった。

「君の人間名は、黒木翼だ」
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