ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
夏美が小柄な体を押し付けて抱き着いて来た。ふんわりとしたマシュマロのような感触に、拓斗と夏美が抱き合う場面がよぎって無意識に体を離した。

不意に、死神に抱かれていた時の感触を思い出した。
みぞおちのあたりがしくしくとうずいて、残り火のような熱が下腹部に下りて淫靡な湿り気を呼び起こす。

「凛、だいじょうぶ?顔赤いけど・・・まさか、いつもクールな凛が、私のこと怒ってたりしないよね」

夏美は小首をかしげて微笑んだ。その甘い顔の裏で、凛を挑発してやろうという意図が、肌を透かして見えるようだった。

凛はそのことに気づきながらも、全く別な場所にいるような奇妙な感覚で、上気した顔を夏美に向けた。

夏美はこのとき、凛が怒りを抑えて唇を噛むのを期待していた。
が、なぜか恋の熱にうかされたような、むしろうっとりと頬を染めて別のことを考えている様子の凛を見て、いら立ちを覚えた。
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