ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
「なんか凛、変なんだけど」
夏美は唇を尖らせた。

「え?あ、ごめんごめん。じゃあ、さしのみは、年明けにでも」
微笑んでごまかした凛の口から、社交辞令のような言葉が口をついて出た。
そのまま吸い寄せられるように、オフィスに入った。

デスクのパソコンの電源を入れながら、凛は思った。もう、夏美と深くかかわるのは辞めよう。少しずつ距離を置けばいい。
あんなに思考の大部分を占めていた夏美の存在が、今となっては遥か遠く、その背中が小さく感じる。今の凛にとっての大問題は、夏美から別の存在に変わっていた。

問題は、自分の部屋に、人間に化身した死神がいる。
そしてその死神があまりにも、男として魅力的だということだった。
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