ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした

12月25日 聖者の夜に復讐を

いつも以上の速さで仕事を片付けた凛は、終業時刻とともにデスクから立ち上がり、そそくさとオフィスを出た。

クリスマスソングがあちこちから聴こえる街を、人波を縫って足早に家路へと急ぐ。自宅マンションのロビーに飾られた大きなクリスマスツリーを横目にエレベーターに乗り込んだ。

家に死神をかくまっていることで、今後どのようなことがこの身に降りかかるかわからないという不安と、早くその死神の顔を見たいという衝動が凛の足を急がせた。

玄関のドアを開けると、姿見を前に死神が立っていた。

至近距離で死神に再会した凛は飛び上がり、その顔を見上げた。ほんの少しだけ吊り上がった、くっきりとした眉の下、アーモンド形の美しい目が凛を見下ろしている。

濃紺のスーツにネクタイを締め、眉にかかる長さの髪を横に撫でつけてある。形のいい額を露わにしたことでぐっと知的な印象だ。
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