ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
髪を乱して獣のように凛の体に激しく腰を打ち付けていた今朝の姿とはまるで違うが、どちらの死神も美しいことに変わりはなかった。

「何を慌てている」

凛から冷たく目線を離し、死神は鏡に向かってスーツの襟に金色のバッヂを付け始めた。

「そのバッヂって」
「弁護士バッヂだ。黒木翼の肩書は、弁護士兼作家。そのほか不動産収入もあるらしいから生活費の心配はないと、岸辺さんから聞いている」
「それはよかったですね」

凛の胸の内にモヤモヤと漂っていた心配事の一つ「死神をどうやって養うのか」という問題は安堵の中に消えた。

死神はコートを羽織ると凛と向かい合った。
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