ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
俺は女の(かお)にくぎ付けになった。

アーモンド形の二重の目に、長いつややかな睫毛。
瞳は澄んでいて、月明かりを水底まで招き入れる真夜中の湖を思わせた。

すっきりと美しい鼻梁に、ふっくらとした唇。
つややかな頬と、ほっそりとした顎。汗に濡れた肩までの髪が波打って、繊細な鎖骨に貼りついている。

きれいだと思って俺は慌てた。
人間を「きれい」だなんて、どうかしている。
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