ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
「もう、拓斗を解放してあげて。お願いだよ凛」

夏美は言って侮蔑を浮かべた表情で凛を見た。凛が呆然とその顔を眺めていると、背後から声がした。

「お待たせ、凛」

死神が立っていた。
動揺する凛の横で、夏美が、ひゅっと息を呑むのが分かった。一瞬で瞳に潤んだ膜が張られ、頬がほんのりと赤く染まる。

「スイートが取れた。行こう」

凛の腰に死神は手を添えた。

「どういうことですか?」

凛は死神に誘導されながら慌てふためいてたずねた。
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