ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
「そういうことでは・・・」
「じゃあ恋人?結婚の約束は?まさかしてないよね。拓斗と別れたばっかりだもんね」

もう体の関係がある、と言おうとして凛は口をつぐんだ。ホテルで会っているのだ。そんなことは言わずもがなだ。夏美はそれを承知で詰問している。

夏美は、凛に「関係している」と言わせないように力づくで誘導しているのだ。

「弁護士と依頼人の関係なのに、私、おかしな妄想しちゃった。ばかだなあ。凛がそんな軽い女じゃないこと、私が一番知ってるはずなのに」

夏美は急に明るい笑顔を閃かせて肩をすくませた。

「ねえ、凛はさ、自分は私のキューピッド役だって言うじゃない?」
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