ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
たしかにそんなことを言ったことがあった。あれは高校三年の時だった。夏美に彼氏を寝取られた後、ありったけの嫌味を込めて言ったのだった。

その嫌味も、自分に都合よく事を運ぶのが得意な夏美にとっては切り札にしかならない。

「私、あの弁護士さんを見たとき、ピンと来たの。私たちには何かがあるって。ねえ、またキューピッドとして協力して」

凛が困って言葉に詰まっていると夏美はさらに詰め寄った。

「私には、出会いはいつだって一大事なんだよ。・・・まあ、一人で強く生きていく力がある凛には、この切実な思い、分からないか」

夏美は悲しげな微笑を浮かべて肩をすくめた。

「あの弁護士さん、住んでるところすごいのかな」
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