ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
「住む場所がなくて今うちにいる。あの人いろいろ事情があって・・・」

あの人には事情がありすぎる。何しろ二日前まで死神だったのだ。少しでもその複雑な事情を説明しようと凛が口を開くも、途中で夏美が素っ頓狂な声をあげた。

「嘘!可哀想!パパのマンションの空き室貸してあげるのに。どうして早く言ってくれないの。そういうときにはあてにして欲しかったな」

夏美の実家は資産家で父親はいくつも不動産を経営している。じっさい夏美も父が所有するマンションで一人暮らしをし、会社のお給料は全て自分のお小遣いとして豪勢に暮している。

給料の半分を住宅ローンの返済にあてている凛と、エステやサロンや習い事にお金をかけている夏美のくらしは、天と地ほどに違った。
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