ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
いらない、といっても感じが悪くなりそうだから、少しいただこうかな、と凛は答えた。
カウンターからテーブルに料理を運び、三人で囲む。

「凛はしょうがないなぁ、しなびた中途半端なお野菜ばっかりで、料理苦労したよぉ」

夏美は言いながら凛のグラスにビールを注いだ。先日鍋を作って残ったタラの冷凍が、ブイヤベースに変身していた。凛は魚を一口、口に入れた。

「たいした材料もないのに、こんなごちそう作れるなんて」

凛は素直に感動していた。

「材料が良ければ、もっと腕を奮えたんだけどな。今度、厳選した食材を用意して、思いっきり料理しようかなって思ってるの。翼さん、食べに来て。凛も、アシスタントしてよ、ね?」
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