ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
まして先ほども、借金まみれの男をそうだと教えずに譲ったことを散々なじられたばかりだ。今回は借金どころではない。人を死に追いやる存在なのだ。かといって、そんな事実をこの場で説明しても、夏美に到底信じてもらえるはずもないのだが。

「もうっ。どうして、そんな意地悪な言い方するの?」

ひきつる目元をごまかしながら、翼を意識して可愛らしく頬を膨らませた夏美に、凛は言った。

「どうしてって・・・翼さんは私のものだから。夏美に渡すわけにはいかない」

一瞬の沈黙。凛は自分の顔が燃えるように赤くなったのを感じた。
夏美はカラカラ笑って、沈黙を吹き飛ばした。

「やだな凛、ムキになっちゃって。誰を選ぶかは翼さんが決めることだよ」

夏美は同意を求めて翼を振り仰いだ。
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