ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした

12月26日夜 死神と夏美

───もう少しまともに歩けないのか。

全体重をもたせかけるように歩く夏美に、翼はいらだっていた。かといって相手は軟弱な人間だ。道端に放り捨ててしまいたいところをぐっと抑える。

師走の駅前通りはほろ酔いで楽し気に行き交う人々でにぎわっている。
夏美は上機嫌で、どこかで飲みなおさないかと冗談めかして言いながら翼の胸にもたれかかった。

翼は夏美の両腕を掴んで立たせ、顔を覗き込んだ。

「夏美、お前はほんとうは俺には興味はないはずだ」
「何言ってるの?そういう翼さんは、私に興味はないの」

夏美は今までとはトーンの違う甘い声で言った。翼の手を取って引き上げ、自らの頬にあてがうと、上目遣いで翼を見上げる。
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