ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
ぱしんと乾いた音とともに、翼の顔が横を向いた。

「もう凛を解放してやれ。ここで納得しないならば、俺は凛の代理人として次の行動に出る」

「なによ、次の行動って?」

夏美の顔色が青ざめていく。意図的に凛を貶めるために仕組んだ色々なことを思い出しているようだった。

「明日、秘書課にいた当時の凛になりすまして上司にメールを送った人間を探すよう、鳳条建設に内部調査を依頼しにいく」

「何の話?」

「行っていいな?」
「だめよ」
夏美は慌てて言葉を被せた。
< 86 / 167 >

この作品をシェア

pagetop