ズタズタに傷ついた私に滾る溺愛をくれたのは、美しい裸身の死神でした
「あなたのこと、夏美にも、だれにも渡したくない」

「ああ、やっぱり苦しくなる。お前がそう言うと、俺の心臓が激しく打つぞ」

凛はうろたえる翼を見上げ、微笑んで言った。

「翼さん、抱いて?」

翼が凛に、口づけた。

「私、すっごくやきもちやいたんです。夏美に取られたらどうしようって思ってました」

ろれつが緩んだ口調で凛は言った。いつも平静を装っている凛だが、酒のせいで本音がするすると唇からこぼれ出ているようだった。

「凛は俺が好きか」
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