大嫌いなはずなのに。~私を弄んだ御曹司に溺愛されます~
1 忘れられない過去と最悪な再会
私には、忘れられない人がいる。
それはもう十年も前のこと。
私がまだ、高校生だった時の話だ。
当時私は生徒会役員で、たしか書記を担当していたのだったと思う。
そして、同じクラスで同じ生徒会役員だった、桐生 蒼弥くん。
勉強も運動もできて、先生からも生徒からも人望は厚かった。
けれど、裏では彼の変な噂も流れていた。
それは、来るもの拒まずで女遊びをしている、というもの。
勉強も生徒会の仕事もきっちりとこなす彼ではあったけれど、その点だけはだらしないという噂があった。
けれど、私はその噂を信じていなかった。
だって、いつも私と接してくれている時の彼は、明るくて優しくて、女遊びをしているようなタイプには到底思えなかったから。
どうしてそんな噂が流れてしまったんだろう…?
たしかにかっこよくてモテそうではある。
きっとそれに嫉妬した誰かが適当な噂を流したんだろう。
当時の私はそんな風に考えていた。
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