大嫌いなはずなのに。~私を弄んだ御曹司に溺愛されます~

「どうして私を秘書に…?」


 私はなるべく感情を押し殺して、桐生くんに質問する。


「ああ、新体制にもなってちょうど秘書をお願いしたいと思っていたんだが…。新しく子会社になる会社の名簿をぱらっと見ていた時に、見たことのある名前があるな、と思ってな。さっき挨拶に行って、ああ、桜川だって確信して、安心したよ」


 安心ってなに…?私がいてなんの安心になるというの…?


「生徒会の時も、俺を支えてくれてただろ?桜川なら、秘書に向いてるんじゃないかって思ってな」


 桐生くんは何がそんなに楽しいのか、嬉しそうににこにことしている。


 最悪だ。


 私の頭の中はその単語がぐるぐると渦巻いている。


 また私をからかって楽しんでいるんだろうか。


 会いたくなかった人の秘書になるなんて。


 これから会社に来る度、この人の傍で仕事をしなくちゃいけないの…?


 何かの冗談だと思いたかった。


 でもこれは現実だ。


 私の初めてを適当に奪った最悪な人と、これから一緒にいなくちゃいけないんだ。


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