大嫌いなはずなのに。~私を弄んだ御曹司に溺愛されます~

「言っておくが、俺達は何もしてないぞ」


「え…?」


「桜川が酔い潰れて、とてもじゃないが帰れる状況になかったんだ。住所を聞いても呂律が回っていなくて、なにを言っているのかも分からなかった」


「う…」


「それで仕方なく上の階のホテルを取ったんだ。桜川に水を飲むように言っても、全然聞いてくれなくて、口から零すもんだから、仕方なく着替えさせた」


「そ、そうだったんだ…」


 着替えさせたって…、私は自分の身体をペタペタと触る。


 下着まで脱がされてるんですけど…!?


 私の反応に桐生くんは少し視線を外した。


「窮屈そうだったから脱がせただけで、見たりはしてないから」


 照れくさそうに話す桐生くんに、私は首を傾げた。


 高校生の時は容赦なく見られたし触られたんだけど、なんですか?その反応は?


 ともかく、何もされていないようでよかった。


 これは完全に私が悪い…。


「桐生くん、迷惑掛けてごめんなさい…」


「いや、別にこれくらい迷惑とかじゃないから」


「あ、ありがとう…?」


 なんだか桐生くんの態度がおかしい。


 当時の遊び人、桐生 蒼弥はどこに行ったの?


 私が桐生くんの様子を訝しんでいると、桐生くんは私にシャワーを進めてくる。


「ともかく、シャワー浴びてさっさと寝ろ」


「え?私、着替えたら帰るよ」


 そう言って立ち上がろうとしたものの、ふらついてしまう。やっぱりまだ酔いが残っているようで、私は慌てて壁に手をついた。


「そんなふらふらじゃ無理だろ。泊まっていけ」


「泊まっていけって…」


 この部屋に、桐生くんと二人きり!?

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