大嫌いなはずなのに。~私を弄んだ御曹司に溺愛されます~

3 彼の熱に浮かされて


 どうしてこうなってしまったのでしょうか…?


 桐生くんをソファで寝かせるのが申し訳ないからと、ベッドに誘った。


 お互いに触れないよう、端と端で寝ていたはずなんだけれど、ふと気が付くと、私は桐生くんを抱き枕代わりに抱き締めていた。


 はっとして慌てて離れようとしたのに、桐生くんがそれを許してくれなかった。


「桜川が誘ってきたんだからな」


 私はあっという間に桐生くんの下に組み伏せられて、身動きのとれない状況になっていた。


「ち、違う…っ!」


「何が違う?こっちは我慢してたっていうのに、桜川から誘ってきたんだろ?」


 違うのに!多分、家にある大きな犬の抱き枕と桐生くんを間違えたんだ。毎晩抱えて寝ているから。


「もしかして桜川もこうされたかった?」


 桐生くんは私の首元に顔を埋めると、ちゅっと音を立てて吸い付いた。


 ちくっとした痛みを感じて、思わず「いたっ」と声を上げてしまう。


「あの時もそうだった」


「え?」


「高校生の時。生徒会室で桜川を抱いただろ」


 桐生くん憶えてたんだ…。忘れてくれていたら、って思っていたけど、そんなに都合よくいかないよね…。

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