大嫌いなはずなのに。~私を弄んだ御曹司に溺愛されます~

「気持ちが先走ってお前を抱いてしまったこと、後悔してた」


 え…?後悔…?なにそれ…。


 私の中でまた怒りが沸々と沸き上がってくる。


 勝手に私の初めてを奪っておいて、なんで桐生くんが後悔するの…?


「あの時は、…悪かった」


 桐生くんはそう言って私に優しく触れる。


 大きくて温かい優しい手が私の身体を撫でる。


 それがやたらと気持ちが良くて、なんだかふわふわしてきてしまう。


 懐かしい、と思ってしまう。


 この手を、私はよく憶えている。


 桐生くんは私に何度もキスをした。


 どうしてそんなに私を愛おしそうに抱くのか、どうしてそんなに優しいキスを落とすのか。


 大嫌いで最悪の人のはずなのに、身体が熱くなって胸がドキドキとうるさい。


 桐生くんの気持ちも、私の気持ちも全く分からないまま、抵抗することもできずに、私はまた流されてしまった。


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