大嫌いなはずなのに。~私を弄んだ御曹司に溺愛されます~

 私は静かに昇降口まで戻った。


 ショックだった。


 桐生くんがそんな人だと思わなかった。


 同じクラス、同じ生徒会で、色んな行事を一緒に成功させてきた。


 そんな彼が、生徒会室で淫らな行為をしているだなんて…。


 少しして、二人が昇降口にやってきた。


 私は慌てて物陰に隠れて、二人と入れ違いで生徒会室に向かった。


 生徒会室の私の机の中に、スマホは入っていた。


 それを鞄に閉まって、生徒会室を出ようとすると、何故だかさっき見た光景が網膜に焼き付いていて、脳内をフラッシュバックする。


 さっきここで、二人は……。


 私は全身の体温が上がっていくのを感じた。


 さっきまで普通におしゃべりしていたはずの彼が、なんだか急に遠い。そう思った。


 同時になんだか胸にちくっとした痛みが走る。


 忘れよう…。忘れなきゃ…。


 私は慌てて踵を返す。


 するとガラッと音を立てて扉がスライドした。


桜川(さくらがわ)……?」


「あ、き、桐生くん……」


 まさか戻ってくると思わなかった私は、かなり動揺した。

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