大嫌いなはずなのに。~私を弄んだ御曹司に溺愛されます~

 小林くんが連れて来てくれたのは、本当に普通の居酒屋さん。高級感なんて全くなくて、大衆食堂、って感じの賑やかさ。


 私はこういう雰囲気の方が落ち着くな…。この前桐生くんに連れて行ってもらったお高いレストランみたいなところは、やっぱりちょっと苦手だ。


「ここの厚焼き玉子が絶品なんだよ」


「厚焼き玉子!食べたい!」


 焼き鳥とかたこわさとか枝豆とか、こういうTHE居酒屋さんのご飯大好き!


「ビールおかわり!」


「桜川、今日は飲むね」


「日頃ストレス溜まりまくってるから!こういうときに発散しないと!」


「やっぱり秘書の仕事は大変?」


「んー、まあねぇ…」


 秘書の仕事が大変、というよりは、桐生くんのお世話が大変、というか…。


 一緒にいるとペースは乱されまくるし、スキンシップ多いし、どうしてあんなに私にちょっかいかけてくるんだろう…ってやめやめ!せっかく小林くんとご飯に来てるのに、どうして桐生くんのこと考えなくちゃいけないの!


「仕事の話はやめよ!せっかくのおいしいご飯がまずくなっちゃうよ」


「大変なことはよくわかったよ」


 小林くんは困ったように笑うと、「今日は奢るからいっぱい食べて」と言ってくれた。


 なんていうかやっぱりこういうスマートなところが、小林くんのいいところだ。


 もしかして私を元気付けるために誘ってくれたとか…?そんなわけないか…。


「ビールもう一杯!」


 小林くんとの飲みは最高に楽しかった。



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