大嫌いなはずなのに。~私を弄んだ御曹司に溺愛されます~

「ビールぅ…もう一杯ぃ…」


「桜川!しっかりして!」


「へ?」


 気付くと公園のベンチに座っていて、水のペットボトルを持った小林くんが、私を心配そうい見ていた。


「大丈夫?」


「うん…だいじょぶだいじょぶ…ちょっと楽しくて、飲みすぎちゃったぁ…」


「桜川、仕事、本当に大丈夫?同期で飲みに行った時も、こんな酔い方してなかっただろ。本当は仕事辛いんじゃないか?」


 小林くんが心配そうな声色で尋ねてくる。


「仕事が辛いっていうかぁ、桐生くんがわけわかんなくてぇ」


「桐生くん?ああ、桐生社長のことか。なんで、くん付け…?」


「桐生くんは、私の高校の同級生なの…」


「え!そうだったのか」


「だから顔なじみの私を秘書にしたんだと思う~職権乱用だよねぇ」


「わけわかんないって…社長になにか理不尽な目に遭わされてるとか?」


 ん~?と私は首を傾げる。


 理不尽な目…理不尽な目に遭っているといえばそうなのかもしれない?


 私のことを抱いたり、急に優しくしたり、甘く迫ってきたり。


 桐生くんは何がしたいんだろう?


「桜川、俺で良かったら力になるけど」


「いやいや!小林くんに迷惑掛けるわけにはいかないよ。小林くんは、これからも私の癒し要因でいてね」


 眠くなってきた私は、隣に座る小林くんの肩に頭を預ける。


 小林くんの身体が強張るのを感じた。


「桜川が俺のことどう思ってるのか知らないけど…、俺だって男なんだけど…」


「うん~…知ってるよ~」


 小林くんが急に私を抱き寄せた。


「えっ…」

< 32 / 43 >

この作品をシェア

pagetop