大嫌いなはずなのに。~私を弄んだ御曹司に溺愛されます~

 桐生くんに連れて来られたのは会社ではなく、桐生くんの家らしかった。


 私をベッドに押し倒すと、桐生くんはスーツを脱いで、ネクタイを緩めた。


「な、なにするんですか!仕事は!?」


「緊急の仕事なんかない」


 だ、騙された…っ!


「あの男は誰だ?」


 やけに威圧的な態度の桐生くんを、私はキッと睨む。


「同期の小林くんです」


「随分仲が良さそうだな」


「まぁ、そうですね。少なくとも桐生くんみたいに乱暴なことはしないし、小林くんの方がっ、むぐっ!」


 話しの途中で桐生くんに噛みつかれるようなキスをされた。


 息継ぎさせるつもりはないらしく、私の口内を味わっていく。


「き、桐生く…」


 苦しい…。うまく呼吸ができない。脳が甘く痺れて、何も考えられなくなるっ…。


「あっ…はぁ、はぁ…」


 ようやく解放されて、私は荒く息をつく。


「な、なにするの…」


「腹が立った」


「はい…?」


「俺の前では笑わないくせに、あいつの前ではへらへらしている美織に」


「そんなこと言われて、もっ!?」


 またもや話の途中で口を塞がれる。


 乱暴に唇を奪ってくるくせに、そのキスは優しくて甘い。

< 34 / 43 >

この作品をシェア

pagetop