透明なフォトブラフ

沙月 side

四月。

満開の桜が咲いたこの日に、高校の入学式を迎えた。

初めて袖を通す制服は、まだぎこちない。

「緊張する…」

姿見に映った自分の姿を見てつぶやいた。

小さい頃から、人見知りが激しい私は、自分から中々話しかけることができない。

不安を抱えて家を出た。

「沙月、おはよ」

隣の家から幼馴染の星野薫が出てきた。

「目の下にクマできてるけど」

「昨日あんまりなれなかったから」
< 1 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop