春待月の一夜のこと
この説明もこれが初めてではなく、この話題が出る度に説明しているのだが、それでも言い方を改めないところを見ると、最早わざと言っているのだろう。
それでも説明しなければしないで、遂に認めたなどと鬱陶しく騒がれるので、どんなに面倒でも毎度説明は欠かせない。


「またまたそんなこと言って。昨日だって家に来てたんでしょ?岡嶋さんが送ってくれた写真に写り込んでましたよ。日曜日って、大学も休みですよね?」


一瞬頭に疑問符が浮かんだ岡嶋だが、ややあって、あの時か……と頭を抱える。
確かに、田辺からのメッセージに返信するために、しまい込んでいたコーヒーを淹れるための道具一式を引っ張り出して写真を撮っていた時、「何してるの?」と近付いてきた時があった。
まさか写り込んでいたとは思わなくて、よく確認もせずにそのまま田辺に写真を送ってしまっていたが、確認というのは、どんな時でも大切なものだと今学んだ。


「土曜日に大学の友達とナイターの映画を観に行ったんだと。それで、家に帰るよりこっちの方が近かったからって来ただけだ」


そんな訪問は、初めてではない。むしろ飲み会やら食事会やら時間の遅くなりそうな予定がある度に、岡嶋の家に転がり込んでくると言ってもいい。
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