春待月の一夜のこと
「とにかくだ!俺のことはどうでもいいんだよ。それよりお前だろ。もうこの際だ、嘘なのか本当なのか、今ここではっきり言え。上司命令だ」
「うわあ、横暴だ。パワハラだ。岡嶋さんがパワハラするー」
きゃーたすけてー、などと棒読みの悲鳴を上げる田辺に、岡嶋はジト目を向ける。
「もう一つはっきりさせたいことがあるんだが、……お前、俺のこと舐めてるよな?」
棒読みの悲鳴の次は、わざとらしい驚き顔を浮かべる田辺。
「いやだな、“慕ってる”の間違いですよ。岡嶋さんが声をかけてくれたから、俺は今ここにいるんですから。そりゃあもう感謝だってしてますよ。伝わりませんか?溢れ出るこの感謝の気持ち」
「微塵もな」
「岡嶋さん、もっとちゃんと自分の部下を見てください」
ふざけた部下ではあるけれど、慕っているのも感謝しているのも、本当はちゃんと伝わっているから、どうにも本気で怒る気にはならない。
それに、ふざけているのはこんな時だけで、仕事となればスイッチが入る部下でもある。
「うわあ、横暴だ。パワハラだ。岡嶋さんがパワハラするー」
きゃーたすけてー、などと棒読みの悲鳴を上げる田辺に、岡嶋はジト目を向ける。
「もう一つはっきりさせたいことがあるんだが、……お前、俺のこと舐めてるよな?」
棒読みの悲鳴の次は、わざとらしい驚き顔を浮かべる田辺。
「いやだな、“慕ってる”の間違いですよ。岡嶋さんが声をかけてくれたから、俺は今ここにいるんですから。そりゃあもう感謝だってしてますよ。伝わりませんか?溢れ出るこの感謝の気持ち」
「微塵もな」
「岡嶋さん、もっとちゃんと自分の部下を見てください」
ふざけた部下ではあるけれど、慕っているのも感謝しているのも、本当はちゃんと伝わっているから、どうにも本気で怒る気にはならない。
それに、ふざけているのはこんな時だけで、仕事となればスイッチが入る部下でもある。