春待月の一夜のこと
確かに、並んで立つ二人には年齢差なんて感じられない。それに、どちらかが年上だと言われたら、まず間違いなく旦那の方を指差してしまうような、落ち着いた雰囲気が写真からも滲み出ている。
そもそも、海外の人は顔立ちからか、実年齢より大人びて見えるのもあるけれど。


「このあと二人で、新婚旅行としてバリを満喫したんだって。お土産にね、なんかへ――変わった置物を貰った。恋の成就に効くって話があるとかないとか」


今“変”って言いそうになったなとは、気がついても突っ込まないのが優しさだろう。


「“あるとかないとか”はもうないんじゃないのか?」

「気持ちの問題だよ!信じる心だよ!って従姉は熱く語ってた」


そうか。ではそれ以上は何も言わないことにしよう。


「雅功くんはどう思う?やっぱり招待客のことも考えたら、地元でやるべきかな。ちなみに従姉の結婚式は、海外っていうのもあるし、新婚旅行も兼ねる予定だったから、フォトウエディングにしたんだって。誰もいない式は寂しいかなって思ったけど、やってみたら自分達だけでも全然楽しくて、人がいてもいなくても関係なかったって言ってた」
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