春待月の一夜のこと
「“嫌だとかそういう話じゃない”、まったくその通りだよ雅功くん。でも、だからこそ、そこであえて!あたしは聞きたい。あたしとそういうことになるのは嫌なのか、あたしとの結婚はそんなに受け入れがたいのか、あたしのことを好きなのか嫌いなのか!」

「……どうしたんだ急に。テンションがおかしくなってるぞ」


まさかとは思うが、あんバターまんのせいだろうか。
ちらりと自分の手元にあるあんバターまんに視線を落としてみるが、そんなわけはないかと視線を戻す。


「もしかして、まだ酒が抜けきってないのか……?」


岡嶋の記憶にある昨日の島田は、ほろ酔いといった感じで、お昼を過ぎてもアルコールが抜けないほど飲んで来たようには見えなかったのだが……。岡嶋が知らないだけで、実は島田は酒豪なのだろうか。
考えてみれば、岡嶋家と島田家の合同で時折開催されるお家食事会などで、島田が缶チューハイを飲んでいるのを見ることはあるが、二人だけで飲んだことは一度もないので、実際に島田がどれほどお酒に強いのかは岡嶋にはわからない。
缶チューハイは、一本か飲んでも二本くらいで終わっている印象があるが、それだって遠慮してそこで終わっているのかもしれないし。
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