春待月の一夜のこと
次は、島田との結婚は受け入れ難いのかだったが、そんなことはない。でもまあ、幼馴染みという関係が夫婦に変わっても、今まで通り仲良くやっていけるのかについては若干の不安もある。
それはもうそのまま伝えてしまって、最後は、島田のことを好きなのか嫌いなのか。これについては考えるまでもない。嫌いな相手に、ここまで世話を焼くことはないだろう。


「というわけだが――」

「はい、ストップ。さらっと終わろうとしてるけど、最初の質問にまだ答えてないからね」


そんな風に指摘してくる島田だが、その顔は嬉しそうに緩んでいる。
半日で、喜んだり怒ったり不満げだったりと、大変忙しく表情が変わる。その表情豊かなところは、島田のいいところだ。

だから、一緒にいても飽きることがない。
そういうところは、部下の田辺に似ている。若干生意気なところも憎めないのは、何かと世話を焼いてしまうのは、島田と似たところがあるからなのかもしれない。
もしくはただ単に、岡嶋が年下に弱いか。


「……島田は、世間体という言葉を知っているか?」

「知ってるけど、今ここにあたししかいないのに、世間様のことを気にする必要がどこにあるの?」


軽く論破されてしまった。
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