春待月の一夜のこと
毎日持ち歩く物につけていてくれるのが、とても嬉しい。友人達に冷やかされながらも、普段使い出来そうなデザインのものを選んだかいがあった。
しかもこのキーホルダー、恋愛成就で有名なパワースポットで購入してきたものなので、島田としてはその辺りのご利益も大いに期待している。
「……悪い、ズボンのポケットに入ってた」
そう言いながら、岡嶋が恥ずかしそうに戻ってくる。
普段きちっとしている分、こういうたまにしか見られない抜けているところがまたいい。
「雅功くんって、たまに抜けてるよね」
「閉めるぞ、忘れ物は」
「あったらお届けよろしく!」
余程恥ずかしいのか、島田の言葉は聞こえないふりで、岡嶋はすぐさま背を向ける。
そんな時に限ってまた、鍵がうまくかからないプチトラブルに見舞われているから、島田は密かに笑ってしまう。
あれ……?だってこっちだろ……。ん?こっちか……いや違うよな。とぶつぶつ言いながらガチャガチャやっている岡嶋の背中に、島田はふと思い立って、「――きだよ」と小さく囁いてみる。
顔だけで振り返った岡嶋の手元で、ようやくガチャンと鍵のかかった音がした。
しかもこのキーホルダー、恋愛成就で有名なパワースポットで購入してきたものなので、島田としてはその辺りのご利益も大いに期待している。
「……悪い、ズボンのポケットに入ってた」
そう言いながら、岡嶋が恥ずかしそうに戻ってくる。
普段きちっとしている分、こういうたまにしか見られない抜けているところがまたいい。
「雅功くんって、たまに抜けてるよね」
「閉めるぞ、忘れ物は」
「あったらお届けよろしく!」
余程恥ずかしいのか、島田の言葉は聞こえないふりで、岡嶋はすぐさま背を向ける。
そんな時に限ってまた、鍵がうまくかからないプチトラブルに見舞われているから、島田は密かに笑ってしまう。
あれ……?だってこっちだろ……。ん?こっちか……いや違うよな。とぶつぶつ言いながらガチャガチャやっている岡嶋の背中に、島田はふと思い立って、「――きだよ」と小さく囁いてみる。
顔だけで振り返った岡嶋の手元で、ようやくガチャンと鍵のかかった音がした。