春待月の一夜のこと
「はい、完成」
感動のあまり、録画終了ボタンを押すのが遅れてしまったため、田辺の声も動画に入ってしまった。
「余計なものが入ってしまったけど、とってもいい画が撮れた」
「田中さんの声は余計なんかじゃないよ。むしろ動画を彩るためには必要ふかけ――」
「田辺くんの声のことを言ってるの!」
全くこの男は……と内心ぶつぶつ言いながら、真帆はスマートフォンをテーブルの端に置いて、スプーンを手に取る。
何度見ても、ビジュアルが素晴らしい。
ふわとろオムライスの理想形と言ってもいいくらい、絶妙な火入れ加減の玉子と、その玉子の黄色を際立たせるブラウンのデミグラスソース。
セットのスープからも、コンソメのいい香りがしているし、田辺が冷蔵庫にしまう瞬間にちらりと見たケーキも、とても美味しそうだった。
向かい側を見れば、田辺も自分の分のオムレツにナイフを入れるところで、真帆はふわとろ玉子にご飯が覆われる瞬間を、肉眼でも楽しむことが出来た。
感動のあまり、録画終了ボタンを押すのが遅れてしまったため、田辺の声も動画に入ってしまった。
「余計なものが入ってしまったけど、とってもいい画が撮れた」
「田中さんの声は余計なんかじゃないよ。むしろ動画を彩るためには必要ふかけ――」
「田辺くんの声のことを言ってるの!」
全くこの男は……と内心ぶつぶつ言いながら、真帆はスマートフォンをテーブルの端に置いて、スプーンを手に取る。
何度見ても、ビジュアルが素晴らしい。
ふわとろオムライスの理想形と言ってもいいくらい、絶妙な火入れ加減の玉子と、その玉子の黄色を際立たせるブラウンのデミグラスソース。
セットのスープからも、コンソメのいい香りがしているし、田辺が冷蔵庫にしまう瞬間にちらりと見たケーキも、とても美味しそうだった。
向かい側を見れば、田辺も自分の分のオムレツにナイフを入れるところで、真帆はふわとろ玉子にご飯が覆われる瞬間を、肉眼でも楽しむことが出来た。