春待月の一夜のこと
「さて、食べよう食べよう。取り皿取ってくるの面倒くさいから、田中さんはそっち側から適当に突っついてくれる?」
「……なんでさっきケーキしまいに行った時に取ってこないの」
「田中さんと、オムライスをカップル食べしたくって」
語尾にハートがつきそうな言い方をしてくる田辺だが、直前に“皿を取りに行くのが面倒”と言っていたことをもちろん真帆は忘れていない。
「田中さんのも、俺はこっち側から突っつくから」
「いや、私は初めから割る」
そう言って真帆はオムライスを半分に割ると、片方を皿の端に寄せる。
「こっちが田辺くんの分だから」
それを見て田辺は、面白くなさそうに唇を尖らせた。
「なんでそこで割っちゃうかな。わかってないな、田中さんは」
「わかってなくて結構。そもそも何よ、カップル食べって」
「端から二人して仲良く一つの物を食べること。一つのジュースに二本ストロー指して飲んでるのとか、見たことない?」
「現実でそんなことする人いるの?」
「まだ見たことはないけど、いるにはいるんじゃない?絶滅したとも聞いてないし」
そんなことを言いつつ、田辺も渋々と自分のオムライスを半分に割っている。
「……なんでさっきケーキしまいに行った時に取ってこないの」
「田中さんと、オムライスをカップル食べしたくって」
語尾にハートがつきそうな言い方をしてくる田辺だが、直前に“皿を取りに行くのが面倒”と言っていたことをもちろん真帆は忘れていない。
「田中さんのも、俺はこっち側から突っつくから」
「いや、私は初めから割る」
そう言って真帆はオムライスを半分に割ると、片方を皿の端に寄せる。
「こっちが田辺くんの分だから」
それを見て田辺は、面白くなさそうに唇を尖らせた。
「なんでそこで割っちゃうかな。わかってないな、田中さんは」
「わかってなくて結構。そもそも何よ、カップル食べって」
「端から二人して仲良く一つの物を食べること。一つのジュースに二本ストロー指して飲んでるのとか、見たことない?」
「現実でそんなことする人いるの?」
「まだ見たことはないけど、いるにはいるんじゃない?絶滅したとも聞いてないし」
そんなことを言いつつ、田辺も渋々と自分のオムライスを半分に割っている。