春待月の一夜のこと
「でもさ、高校の時同じクラスだった坂本って覚えてる?」

「さかもと?……さかもと……さかもと……」

「ぽっちゃり眼鏡の坂本」

「ああ、坂本」


ぼんやりとだが、ぽちゃっとした丸っこい体形で眼鏡をかけた男子を思い出した。


「あいつもこの間の同窓会に来てたんだけど、あのぽちゃぽちゃはどこ行ったんだってくらいしゅっとしちゃっててさ。今何してんだって訊いたら、野菜料理を専門に扱うカフェ開いたんだって。ほら、あいつの家農家だから。自分家で育てた野菜を使った軽食とかスイーツとか作ってるんだって。まあ作ってるのは主に奥さんみたいだけど」

「……カフェもびっくりだけど、結婚してるの?」

「大学の時にサークルで知り合った二個上の先輩だってさ。写真見せてもらったけど、二個上にはとても見えなかった。二個下って言われた方がまだ納得出来るような童顔とちまっこさ」

「へー……」


斉藤といい坂本といい、それから真帆の友人といい、クラスメイトの結婚率が高くて驚いてしまう。もしかして、年齢的にそれが普通なのだろうか。
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