春待月の一夜のこと
「海外だったらハグは挨拶だよ?」
「じゃあ田辺くんは、海外に行ったらいいと思う」
「俺ね、海外だったらオーストラリアに行ってみたいんだ。田中さん、グレートバリアリーフって知ってる?宇宙からでも見えるって言われてるくらい大きなサンゴ礁群でね、凄く綺麗なんだって。それをね、見に行ってみたいの」
「へえー……」
グレートバリアリーフという名前くらいは聞いたことがあったが、サンゴ礁のことだったとは知らなかった。てっきり島の名前かと思っていた。しかも宇宙からも見えるくらい大きいとは衝撃だ……と驚きと感心で気を抜いた隙に
「捕まえた!」
「っ!!?」
静かに、かつ素早くテーブルを回った田辺に、正面から抱きしめられた。
驚きで体が石のように固まった真帆を、「ははっ、田中さん緊張し過ぎ」と田辺が笑う。
「やっぱり慣れていらっしゃらないようで」
「うるっさい……!もういいでしょ離して」
男の人に抱きしめられるのは、いつぶりだろう。彼が最後に抱きしめてくれたのは、いつだっただろう。
「じゃあ田辺くんは、海外に行ったらいいと思う」
「俺ね、海外だったらオーストラリアに行ってみたいんだ。田中さん、グレートバリアリーフって知ってる?宇宙からでも見えるって言われてるくらい大きなサンゴ礁群でね、凄く綺麗なんだって。それをね、見に行ってみたいの」
「へえー……」
グレートバリアリーフという名前くらいは聞いたことがあったが、サンゴ礁のことだったとは知らなかった。てっきり島の名前かと思っていた。しかも宇宙からも見えるくらい大きいとは衝撃だ……と驚きと感心で気を抜いた隙に
「捕まえた!」
「っ!!?」
静かに、かつ素早くテーブルを回った田辺に、正面から抱きしめられた。
驚きで体が石のように固まった真帆を、「ははっ、田中さん緊張し過ぎ」と田辺が笑う。
「やっぱり慣れていらっしゃらないようで」
「うるっさい……!もういいでしょ離して」
男の人に抱きしめられるのは、いつぶりだろう。彼が最後に抱きしめてくれたのは、いつだっただろう。