春待月の一夜のこと
なんだこいつ……とイライラし、ついでに先ほどつねったことを謝ったことを後悔しつつ、真帆は田辺を睨み付ける。
これ以上言っても適当な答えしか返ってこないことはわかりきっているので、一旦真帆が引くことにした。
悔しいかな、田辺から場所を聞き出せなければ、自分の服の在り処もわからない。
まあどうあっても教えるつもりがないというのであれば、最悪家の中を引っ繰り返してでも見つけてやろうとは思っているけれど。
「田中さん、俺とゲームしない?」
「……ゲーム?」
そう、ゲーム!と楽しそうに笑った田辺は、テレビの方に向かっていくと、テレビ台の上でなぜかリモコンの隣に並んでいたトランプの箱を手に取って振り返った。
「なんでそんなとこにトランプ……?」
「これね、上司から借りたやつなんだけど、返すのずっと忘れててさ。今度こそ返そうと思って、忘れないように目につきやすいところに置いてみた」
目に付きやすいところがテレビのリモコンの隣というのも気になるが、それより気になるのは、上司からトランプを借りるに至った経緯だ。
まあ気にはなるが、訊いたところで素直に教えるとも思えないので、黙っておくけれど。
これ以上言っても適当な答えしか返ってこないことはわかりきっているので、一旦真帆が引くことにした。
悔しいかな、田辺から場所を聞き出せなければ、自分の服の在り処もわからない。
まあどうあっても教えるつもりがないというのであれば、最悪家の中を引っ繰り返してでも見つけてやろうとは思っているけれど。
「田中さん、俺とゲームしない?」
「……ゲーム?」
そう、ゲーム!と楽しそうに笑った田辺は、テレビの方に向かっていくと、テレビ台の上でなぜかリモコンの隣に並んでいたトランプの箱を手に取って振り返った。
「なんでそんなとこにトランプ……?」
「これね、上司から借りたやつなんだけど、返すのずっと忘れててさ。今度こそ返そうと思って、忘れないように目につきやすいところに置いてみた」
目に付きやすいところがテレビのリモコンの隣というのも気になるが、それより気になるのは、上司からトランプを借りるに至った経緯だ。
まあ気にはなるが、訊いたところで素直に教えるとも思えないので、黙っておくけれど。