春待月の一夜のこと
「田中さんが“俺のために”デザートを作ってくれている」
「……その言い方なんかやだ」
何が嫌かって、もちろん“俺のために”というところ。それから、その言い方だと真帆が自分から進んで作っているように聞こえるのでそれも嫌だ。
これはあくまでも罰ゲームとして田辺に作らされているのであって、真帆が自ら進んで作っているわけではない。
「ああ、そうだよね、ごめんね。“未来の旦那のために”の方がいいよね」
「はい!!?」
わかったような顔をして、見当違いも甚だしい。
「あれ、違った?あ、そっか、田中さんは“旦那”じゃなくて“夫”派か。それじゃあ改めて、未来の――」
「改めなくていい!!」
本当にもうなんなんだこの男は!という気持ちを込めてガシガシ混ぜる。
本来はそんなに力強く混ぜるものでもないのだが、店に出すものを作っているわけでもないので、しかも食べるのはどうせ田辺なので、気にせずガンガン混ぜる。
「俺ね、プリン好きなんだー。甘い物は基本的になんでも好きだけど、プリンはかなり上位で好き」
「へー、そう」
割とどうでもいい。
“全敗した田中さんには、罰ゲームとしてプリンを作ってもらいます”と謎の宣言をされた時から、プリンが好きだろうことは予想がついていたし。
「……その言い方なんかやだ」
何が嫌かって、もちろん“俺のために”というところ。それから、その言い方だと真帆が自分から進んで作っているように聞こえるのでそれも嫌だ。
これはあくまでも罰ゲームとして田辺に作らされているのであって、真帆が自ら進んで作っているわけではない。
「ああ、そうだよね、ごめんね。“未来の旦那のために”の方がいいよね」
「はい!!?」
わかったような顔をして、見当違いも甚だしい。
「あれ、違った?あ、そっか、田中さんは“旦那”じゃなくて“夫”派か。それじゃあ改めて、未来の――」
「改めなくていい!!」
本当にもうなんなんだこの男は!という気持ちを込めてガシガシ混ぜる。
本来はそんなに力強く混ぜるものでもないのだが、店に出すものを作っているわけでもないので、しかも食べるのはどうせ田辺なので、気にせずガンガン混ぜる。
「俺ね、プリン好きなんだー。甘い物は基本的になんでも好きだけど、プリンはかなり上位で好き」
「へー、そう」
割とどうでもいい。
“全敗した田中さんには、罰ゲームとしてプリンを作ってもらいます”と謎の宣言をされた時から、プリンが好きだろうことは予想がついていたし。