キスだけで誤魔化さないで。好きってちゃんと、言ってよね。【完】
 無言で校内を歩き、外へ出た私たち。

 裏門を出ると、すぐ側に律の車が停まっていた。

 律は素早く鍵を開け助手席のドアを開くと私を席に着かせ、少し乱暴にドアを閉める。

 そして運転席に律が座ると、すぐに車を発進させた。

 いつになく荒々しい運転をする律。

「……り、律……」
「ん?」

 怒っているのか、ものすごく機嫌の悪そうな彼に恐る恐る声を掛けた私に、苛ついた様子ながらも聞き返してくれる律。

「……あ、あの……」

 私が言葉を続けようとすると、人も車通りも少ない高架下に突如車を停めた律は、無言で顎を持ち上げると、私の唇を塞いできた。

「――!?」

 そして、

「……ん、は……ぁ、っんん」

 何度も角度を変えながら激しいキスが繰り返される。

「……り、つ……」

 一、二分程経ったのだろうか、解放された私は荒い息遣いで律の名を呼んだ。

 こんなに激しくキスされたのは初めてで、すごく戸惑ってしまったけど、嫌では無くて、寧ろ、もっとしていたいと思ってしまう。

「アイツにキス、されたのか?」

 律の質問に、弱々しく首を横に振る。

「どこ触られた?」

 頬や唇、首筋に鎖骨と触れられた所を思い出しながらゆっくり指差すと、律の骨ばった指がその場所へ這っていく。

「……っ!」

 新田に触られた時とは違って恐怖心はないけど、恥ずかしさとくすぐったい感覚で身体がピクリと反応した。
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