キスだけで誤魔化さないで。好きってちゃんと、言ってよね。【完】
2
 あれから二週間が経ち、新田はというと、あの日以来学校を休んでる。

 それもあってか私は平穏な学校生活を送れていた。

「律、ただいま~」

 学校帰り、スーパーに寄って食材を買って来た私が律の部屋に入った瞬間、一瞬目眩がした。

「何で? 昨日掃除したばっかりだよね?」

 昨日綺麗に掃除をして帰ったはずの部屋が目を疑う程に散らかっていたので、一瞬声も出なかった。

「んー? 探しモンしてたんだが、見つからなくてなぁ……」

 探し物が見つからないから諦めたのか、言いながら律は窓際に座り込んで煙草をふかしている。

(ってか、探すのやめてんじゃん……)

「何探してるの?」
「この前、井岡がくれた紙」
「それって――」

 言われて思い当たる私はすぐ横にある棚の引き出しを開け、

「これの事?」

 一枚の紙を律に差し出す。

「お! それだ。何だよ、そんなトコに入ってたのか」

 私から紙を取った律は納得すると、新しい煙草に火を点けようとした。

「律! 煙草吸う前に片付け!」

 そんな彼からすかさず煙草を奪い取った私は片付けをするよう促す。

「何だよ、いいだろ? 一本くらい」
「駄目! ってか今さっきまで吸ってたでしょ? いい加減吸いすぎ!!」
「ちっ」

 怒る私を忌々しげに見つめながら舌打ちをする律。

 納得のいかなさそうな律を再度促し、私たちは部屋を片付ける事にした。
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