キスだけで誤魔化さないで。好きってちゃんと、言ってよね。【完】
 私は少し見た目が派手で、世間からすれば、『ギャル』と言われる部類に入ると思う。

 髪はちょっと明るめの茶髪だし、メイクも気持ち濃いめ。

 別に意識してるわけじゃないけど、周りがやるから何となく。

 こんなんだからいつも寄って来るのは軽いナンパ男とか、エロいオヤジばっかり。

 律と初めて出会ったあの日だって、ナンパ男に絡まれてたのを偶然通りかかった律に助けを求めたのが全て始まりだった。

 コンビニ帰りの律は助けを求めた私を面倒臭がりながらも追い払って助けてくれた。

 でも、助けてもらってなんだけど、終始面倒臭そうな態度にはすごくイラついた。

 それに、『普通、男に絡まれて嫌がってる女の子が居たら助けようって思わない?』って律に言ったら、『色気のある女だったらまあ考えなくもないけど、子供(ガキ)じゃなぁ』なんて返されたもんだから、それが何だかすごく悔しくて、『それじゃあ、子供(ガキ)なんて言われないくらいの女になる!』って意気込んだ私には律も苦笑い。

 だけど、『面白ぇ、やれるもんならやってみな』なんて言われたから内心ビックリしたの。

 だって、絶対鬱陶しいって言われると思ったんだもん。

 それにね、恋愛未経験の私には成り行きだけど助けてくれた律がヒーローのように見えて格好良くて、一瞬で一目惚れしてしまっていたの。

 それから毎日のように律に会いに行ってはウザがられ、しまいにはストーカー扱い。

 だけどめげずに自分磨きを頑張って、ギャルメイクからキレイめな大人を目指したメイクに変えてみたり、髪も少し暗めに変えたり、とにかく子供に見られないように必死に背伸びをしながら律に猛アタックを繰り返して、出逢いから二ヶ月が経った頃に、

「……俺と付き合っても面白くも何ともねぇと思うけど、それでもいいならいいんじゃねぇの?」

 という言葉を貰った私は晴れて律の彼女になったのだ。

 それから約三ヶ月が経ったけど、律は相変わらず私を子供扱いする。
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