キスだけで誤魔化さないで。好きってちゃんと、言ってよね。【完】
「ジェットコースターねぇ……お前、こういうの平気なわけ?」
「うん、多分!」
「多分って。乗ってから怖いって騒いでも知らねーぞ?」
「大丈夫だよ!」
「その自信はどこからくんだ?」
「だって、小学生でも乗れるんだよ? 平気だって。ね? 行こう?」
「……分かったよ」

 大丈夫と言いながらも実は私、ジェットコースターに乗るのはほぼ初めてだったりする。

 幼い頃に子供用のコースターに乗った事があるくらいなのだけど、人気のアトラクションはどれも乗りたかった私は意気揚々とミラクルコースターの待機列に並んだもののいざ自分の番が来た瞬間、律の言う通りだったと実感する事になった。

 乗っている人たちの悲鳴が聞こえるのも自分の番が近付くにつれて何だか少しずつ恐怖を植え付けられてる感じがしたし、私たちはちょうど一番前のコースターに乗る事になったのだけど、それが余計に恐怖を倍増させた気がする。

 席に着いて安全バーが下げられると、とうとう私は我慢できなくなる。

「……律……どうしよう……怖い……」

 いよいよ出発、というところで私がポツリと呟くと、

「だから言ったんだよ……怖いって言っても今更どうしようもねぇんだ、とりあえず手、握っとけ。しっかり掴んでてやるから」
「……う、うん……」

 そう言ってくれたので、半分涙目の私は律の手をしっかり握る。

 高くて速くてもの凄く怖かったけれど、律がしっかり手を繋いでくれてたおかげか、ジェットコースターの恐怖に何とか耐える事が出来た。

「怖かった……ジェットコースターなんて、もう二度と乗らない……」

 無事にジェットコースターを終えた私は既にふらついていた。

「ったく、だから俺は聞いたんだよ。そんなふらついてちゃ何も乗れねぇな。少し休むか?」
「うん……」

 律の言葉に頷いた私は近くのベンチに腰を下ろす。

「何か飲むか?」
「うん、飲む」
「んじゃ、あそこの売店で買ってくるからここで待ってろよ」
「ありがとう、律」

 優しく気遣ってくれる律に感謝しつつ、私は一人ベンチに座って少し離れた売店に飲み物を買いに行った律を待っていた。

 すると少しして、

「ねぇ彼女、一人?」
「友達と一緒とか?」
「良かったら俺らと一緒に回らない?」

 軽そうな三人組の男の人が声を掛けてきた。
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