キスだけで誤魔化さないで。好きってちゃんと、言ってよね。【完】
3
 律との初体験を済ませ、幸せな気持ちのまま遊園地デートまでする事が出来た。

 そんな思い出深い週末を過ごした私は心が満たされたまま月曜日を迎えて学校へ行くと、

「……琴里、久しぶり」

 あの一件以降ずっと学校を休んでいた新田が久しぶりに登校して来ていて、声を掛けてきた。

(……最悪。一気に気分が盛り下がった)

 出来る事なら関わりたくないけど、同じクラスである以上そうもいかず、テンションも下がったけれど、いつまでもこのままにしていても余計に気分が悪い。

 心の中で色々と葛藤した末、

「……久しぶり。あの時の事はもういいから……これからは、必要以上に干渉しないで。あくまでもクラスメイトとして接してよ。それと、どんなに言われても、新田に心が動く事はないから」

 あの日の事は水に流して、これからは必要以上に干渉しないで欲しいという事と、どんなに言い寄られても気持ちが動く事はないとハッキリ伝えた。

「……悪かったよ。ごめん。許してくれてありがとう」

 流石に悪かったと思っているようで、新田は私の言う事をすんなりと受け入れてくれて、この件は無事に片付いた。

 これで、学校へ来ても新田の事で気を揉むことが無くなった私はホッと胸をなで下ろした。

 でも、私にはまだ気がかりな事がある。

 それは、律と鈴さんの事だ。

 過去に付き合っていた二人。

 今はお兄さんの奥さんだから義理の姉になったけれど、今でも二人の間には言い表せない何かがある気がして、ずっと気になっていた。
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